N-VANは、助手席と後席を収納して、1人分の長い寝床を作れるクルマです。2人で寝る場合もHondaの検証例がありますが、こちらは純正マルチボードと倒した運転席を使う構成。まずは「何人で寝るか」を決めると、必要な準備が見えてきます。
この記事では、Hondaが2020年10月に撮影した「N-VAN +STYLE FUN・Honda SENSING」の車中泊検証と、公式の装備・用品情報をもとに説明します。約230cmという長さやマットの収まり方は、その検証車での目安です。
購入する車両や手元の愛車では、年式・タイプと用品の適合を照らし合わせてください。
- 助手席側を使う1人用とボードを使う2人用の違い
- 検証車の寸法を参考にしたマットの選び方
- 純正マルチボードの組み合わせと走行時の条件
- 収納・目隠し・季節対策と宿泊場所の準備
N-VAN(Nバン)の車中泊は1人・2人で寝床の作り方が違う
1人なら助手席側の約230cmを使うのが基本

1人での車中泊なら、助手席と後席を収納する「助手席&荷室フラットモード」が基本です。Hondaの車中泊検証では、助手席側のフラット面は長さ約230cm。横になったときに頭側と足元の空間を確保できる、1人用の寝床として紹介されています。
この使い方のよさは、運転席を動かさずに寝床側をフラットにできること。Hondaも、入浴や買い出しで移動するときに、運転席をその都度戻さなくてよい点を挙げています。1人旅であれば、大がかりなベッドを作る前に、このシートアレンジとマットを中心に考えられます。
ただし、約230cmは助手席側の長さです。車内全幅に同じ長さの寝床が広がる、という意味ではありません。運転席後方は荷物を置く空間として使えるため、1人用では「助手席側で寝る・運転席の後ろに収納する」という分け方ができます。長さだけで2人分の寝床まで判断しないことが大切です。
シートは背もたれを倒すだけでなく座面ごと収納する
N-VANの広い床面を作るのが、助手席と後席のダイブダウン機構です。公式の装備説明では、助手席の背もたれを前に倒したあと、座面ごと足元へ収納する仕組みになっています。後席も左右に分けて収納でき、助手席のあった場所まで荷室のように使えます。
Hondaの2020年の検証では、このフラットな床面について段差はないと紹介されています。ただし、後で説明する2人用の配置は、運転席を倒し、助手席をテーブルモードにする別の構成です。1人用の床面の評価を、そのまま2人用ベッドの足元に当てはめることはできません。
シートを収納するときは、異物を挟んでいないかを見て、無理な力をかけずに操作します。現行の公式装備ページには、取り外した助手席ヘッドレストとリアシートピローの固定場所も案内されています。リアシートピローはFUN、FUN 特別仕様車に標準装備という条件があるため、手元の車両の装備に合わせて扱いましょう。
助手席テーブルモードは走行中に使えません。寝るための配置と走行時の配置を分け、出発時は荷物の固定と運転視界の確保も行ってください。
2人ならボードを使って寝床を高くする構成を検討

2人で寝たい場合、Hondaの検証例では荷室と後席の助手席側に純正マルチボードを設置しています。そのうえで助手席をテーブルモードにし、運転席を倒すと、大人2人が横になれる空間になります。1人用の床をそのまま横に広げるのではなく、ボードを使った高さで寝床を作る方法です。
| 比較する点 | 1人用の基本配置 | 2人用のHonda検証例 |
|---|---|---|
| 寝床の作り方 | 助手席と後席を収納 | マルチボードを設置し、助手席をテーブルモード、運転席を倒す |
| 広さの目安 | 助手席側の長さ約230cm | 幅約60cm×長さ約188cmのマットレスを2枚設置 |
| 運転席 | 動かさずに床面を作れる | 就寝時に倒す |
| 荷物の置き場 | 運転席後方を活用 | ボードの下を活用 |
| マットの検証条件 | 上記寸法は床面の長さ | 厚み約10cmのマットレスを使用 |
2人用の検証では、テールゲート側を頭にして横になると、足元の隙間や段差がほぼ気にならなかったとされています。これは厚み約10cmのマットレスを組み合わせた評価です。「ボードさえあれば、どんな寝具でも同じ寝心地になる」とは考えず、使うマットまで含めて寝床を検討しましょう。
また、2人用では運転席も寝床の一部になります。1人用で紹介した「運転席を戻す手間がない」という利点とは条件が異なります。2人旅を中心に考えているなら、横になれるかに加えて、毎日の設営と出発時の片付けまで含めて選ぶのがよいでしょう。
マットは寝床の実寸と収納サイズで選ぶ
マットを選ぶときは、先に使うシートアレンジを決めて、その状態で幅と長さを測ります。Hondaも、車内やシートの幅の採寸に加え、折り畳んだときの大きさを確かめるよう案内しています。寝るときに収まっても、収納したマットがほかの荷物を圧迫するなら、旅の間の使い勝手は変わります。
N-VANの2人用検証で使われたのは、1枚あたり幅約60cm、長さ約188cm、厚み約10cmのマットレスです。この寸法は購入時の参考になりますが、対象は2020年の検証車とそのボード配置。同じ表記サイズの商品すべての適合や、現在販売される用品との組み合わせを保証する数値ではありません。
厚さについては、Hondaの車中泊一般向け解説で、8〜10cmの厚手のマットが凹凸を低減する道具として挙げられています。一方、厚いマットはかさばるとも説明されています。N-VAN専用の必須厚さとして決めつけず、寝床の隙間や段差が気になるか、片付けたときにどこへ置けるかを合わせて考えたいところです。
折り畳み式と空気を入れるタイプでは、設置方法も異なります。展開した寸法だけで選ばず、素材・厚み・収納時の大きさを比べましょう。床面がフラットであることと、クッション性のある寝床であることは別の判断です。まずシートを収納して空間を作り、その上に敷く寝具を選ぶ順番が基本になります。
N-VAN(Nバン)の車中泊に必要な用品と出発前の準備
純正マルチボードは組み合わせと走行時の条件を見る
純正の「マルチボード」は、ラゲッジスペースを上下に分ける用品です。ラゲッジ用とリア用を組み合わせることで、下に荷物を入れられる、一段高いベッドとして使えます。2人用の寝床を検討する場合や、就寝スペースと収納を上下に分けたい場合の候補です。
| Honda純正用品 | 品番 | 許容荷重 | 公式掲載価格・税込 |
|---|---|---|---|
| マルチボード ラゲッジ用 | 08U35-TXA-013A | 200kg | 70,950円 |
| マルチボード リア用(助手席側) | 08U35-TXA-002B | 100kg | 31,900円 |
価格は2026年10月3日確認時のHonda Access公式ページ掲載額で、取付費を含まないメーカー希望小売価格です。別途取付費が必要で、仕様や価格は変更される場合があります。リア用の装着にはラゲッジ用が必要なため、リア用だけを買って寝床が完成するものではありません。
特に見落としたくないのが、リア用(助手席側)は装着したまま走行できず、走行時には必ず取り外すという条件です。また、公式ページにはラゲッジアシストポール、ラゲッジトレイ、指定のラゲッジマット類との同時装着不可の注意があります。
すでに荷室用品が付いた車両では、追加する前に年式・品番・既存装備を販売会社へ伝えて適合を確認してください。
荷物は寝床を作った状態で置き場を決める

1人用の配置では、運転席後方のフラットなスペースが収納に役立ちます。Hondaの検証でも、棚やボックスなど形の決まった物を配置しやすいとされています。助手席側で足を伸ばす空間を確保し、残る運転席後方に荷物をまとめるのが基本の考え方です。
2人用のボード配置では、ボード下が収納場所になります。検証ではチェアなどの長い道具も収納できたと紹介されています。ただし、道具の形やサイズによって収まり方は変わります。寝具だけを広げて終わりにせず、持っていく荷物も置いた状態で、就寝時の配置を考えましょう。
寝床を広げた結果、荷物を全部車外へ出す前提になっていないかも見ておきたい点です。Hondaは、車中泊ではベッドが場所を取り、道具の保管スペースが不足することがあると注意しています。キャンプ場での盗難はゼロではないため、大切な道具を就寝中や外出中にどこへ保管するかまで決めておきます。
収納の仕上げは、走行時に荷物をしっかり固定し、運転や後方視界を妨げないこと。寝ている間に使いやすい配置でも、そのまま走行できるとは限りません。ボードやシートを戻す作業と一緒に、荷物の固定も出発前の作業に含めておきましょう。
目隠しと寝具をそろえ、暑さ・寒さを別に考える
寝床の次に用意したいのが、窓を覆うシェードやカーテンです。窓から入る視線や光を遮り、プライバシー対策に役立ちます。選ぶ基準は、窓をきちんと覆えることと、取り付け・取り外しのしやすさ。目隠しだけに頼らず、就寝時やクルマを離れるときの施錠も確かめます。
掛ける寝具は、使い心地と収納性で選べます。Hondaの解説では、布団は寝心地のよさがある一方、収納時にかさばりやすいとされています。寝袋は収納しやすく保温効果も期待できますが、布団より寝返りや出入りがしにくい面があります。
N-VANの限られた収納を重視するなら寝袋、寝心地を優先するなら布団も含めて検討する、という選び方です。
車内は外気温の影響を受けやすく、場所によっては夏でも冷え込みます。季節に合った寝具を用意し、冬に結露した水は拭き取って、定期的に換気を行いましょう。シェードも冷え込み対策として紹介されていますが、それだけで寝具の準備を済ませるものではありません。
暑さには、寝苦しさだけでなく健康上の危険があります。JAFの注意喚起では、真夏の炎天下に加え、春や秋でも車内が高温になる場合があるとされています。短時間でも子どもや高齢者、ペットを車内に残さないでください。寝床を作れたことや目隠しを付けたことを、暑い車内で安全に過ごせる根拠にはできません。
泊まる場所の許可とエンジン・火器の注意を確認する

宿泊先は、車中泊を認めている施設から選びます。HondaはRVパークやオートキャンプ場などを候補に挙げる一方、キャンプ場でも駐車場での宿泊や車中泊を禁止している場合があると案内しています。施設名や種類だけで判断せず、予約前に利用する区画で車中泊ができるかを確かめましょう。
車中泊が許可されていても、車外にテーブルや焚き火台を広げてよいとは限りません。車内で眠ることと、屋外でキャンプをすることは、施設のルール上で扱いが異なる場合があります。

食事やくつろぐ場所も含めて、認められている範囲に合わせて計画してください。
キャンプサイトに着いたらエンジンを止め、夜間のドアの開閉音やキーの電子音にも配慮します。エアコンのためにエンジンをかけ続ける方法については、Hondaが排気ガスの流入による一酸化炭素中毒の危険を挙げています。暑さや寒さへの準備を、就寝中のアイドリング任せにしないことが大切です。
車内ではキャンプ用バーナーや燃焼系ランタン、カセットこんろなどの火器を使わないでください。Hondaは、一酸化炭素中毒に加え、寝袋などがある狭い車内でのやけどや火災の危険を説明しています。照明はLEDライトを使い、調理は車外の許可された場所で行う計画にします。
N-VAN(Nバン)の車中泊で押さえたいポイントまとめ
この記事のまとめです。
- 1人用の基本は助手席&荷室フラットモードで、2020年のHonda検証では助手席側の長さが約230cm
- 1人用は運転席を動かさずに床面を作れ、運転席後方を収納に使える
- 2人用の検証例はマルチボード、助手席テーブルモード、倒した運転席を組み合わせる構成
- 2人用で使われたマットレスは1枚約60×188cm、厚み約10cmで、適合は実車の配置に合わせて判断
- マットは展開時の寸法だけでなく、厚みと収納時の大きさも比較
- マルチボードのリア用はラゲッジ用が必要で、走行時には取り外す
- 荷物は就寝時の保管場所まで決め、走行時には固定と視界確保を行う
- 窓の目隠しと施錠を確かめ、寝具は季節・寝心地・収納性に合わせて選ぶ
- 暑い車内には健康上の危険があり、就寝中のエアコンをアイドリング任せにしない
- 車中泊と車外でのキャンプ行為の許可をそれぞれ確認し、車内では火器を使わない










